お店の手引き
お菓子の栄養成分表示は義務?個人のお菓子屋さんが知っておきたいこと
文 パティレコ
焼き菓子を袋に入れて催事で売りたい。委託販売を始めたい。そんなときに気になるのが「栄養成分表示は必要なのか」です。この記事では、個人や少人数のお菓子屋さんに向けて、義務になる場合と省略できる場合、書き方の基本をまとめます。
結論:袋や箱に入れて売るお菓子には、原則として必要
食品表示法では、容器や包装に入れて消費者に売る加工食品に、栄養成分表示が義務づけられています。2015年に義務になり、2020年4月からは猶予期間も終わっています。袋に入れたクッキーや、箱に入れたパウンドケーキも加工食品なので、原則として対象です。
ただし、お店の規模や売り方によっては省略できたり、そもそも表示の義務がかからなかったりします。次で見ていきます。
表示を省略できる場合・表示の義務がかからない場合
1. 小規模事業者が売るお菓子
次のどちらかに当てはまる事業者は、栄養成分表示を省略できます。
- 消費税の納税が免除されている事業者(基準期間の課税売上高が1,000万円以下)
- 中小企業基本法でいう小規模企業者(おおむね常時使用する従業員が20人以下。商業・サービス業が主な事業なら5人以下)
省略できるのは栄養成分表示だけで、名称や原材料名、アレルゲンなどほかの表示は省略できません。また、省略できる事業者でも、表示するなら決まりに沿って書く必要があります。
2. 表示できる面積がとても小さい包装
包装の表示できる面積がおおむね30㎠以下なら、栄養成分表示を省略できます。個包装の小さなお菓子などが当てはまります。この場合も、名称・保存方法・期限・表示責任者・アレルゲンは省略できません。
3. 店の中で作って、その店で売る場合
お店の中で作ったお菓子を、その場で売る場合(容器包装に入れないばら売りや、作った場所での直接販売)は、食品表示の多くの項目に表示の義務がかかりません。一方で、催事・委託販売・ネット販売のように、作った場所以外で売るときは表示が必要になります。
このほか、ごく短い期間で原材料や配合が変わるもの(日替わりの品など)も省略できる場合があります。いずれにしても、お客さまへの情報として、アレルゲンだけでも伝えられるようにしておくと安心です。
表示する5つの項目と、書く順番
栄養成分表示では、次の5項目をこの順番で書きます。あわせて「100g当たり」「1個(40g)当たり」のように、何当たりの値かを書き添えます。
| 栄養成分表示 1個(40g)当たり | |
|---|---|
| 熱量 | 182kcal |
| たんぱく質 | 2.6g |
| 脂質 | 10.4g |
| 炭水化物 | 19.8g |
| 食塩相当量 | 0.1g |
| この表示値は、目安です。 | |
熱量は kcal、ほかの4項目は g で書きます。ナトリウムは「食塩相当量」に換算して表示します。「カロリー控えめ」「糖質オフ」のような強調した表示をするときは、基準値など別のきまりがあるので注意してください。
計算で出した値は「推定値」として表示できる
栄養成分の値は、分析機関に頼んで測るほか、日本食品標準成分表などのデータから計算して出すこともできます。個人のお菓子屋さんでは、計算で出すのが現実的です。
計算で出した値(合理的な推定で得た値)を表示するときは、次の2つが必要です。
- 表の近くに「推定値」または「この表示値は、目安です。」と書く
- 計算のもとにした資料(レシピ、使った成分表の値、計算の記録など)を保管しておく
お菓子の栄養成分を計算する手順
- レシピの材料ごとに、日本食品標準成分表(八訂)から当てはまる食品を選ぶ(例:farine → 薄力粉、beurre → 無塩バター)
- 100g当たりの値に「使った量 ÷ 100」を掛けて、材料ごとの値を出す
- 全部の材料を足して、レシピ1回分の合計を出す
- できあがった個数で割って、1個当たりの値にする
手で計算すると、材料が20種類あれば100か所の掛け算と足し算になります。卵の「1個」や「大さじ1」を重さに直す手間もあります。フランス語で書かれたレシピなら、材料名を訳すところから始まります。
材料名のフランス語が分からないときは、製菓フランス語の材料辞典も使ってください。表示するラベル全体の書き方は、焼き菓子の食品表示ラベルの書き方にまとめています。
参考にした資料
PatiReco でできること
レシピから、栄養成分を自動で計算
材料と分量から、成分表(八訂)をもとに1個あたりの5項目を計算します。フランス語の材料名のままでも当てはめ、ラベルには「推定値」と表示します。
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