お店の手引き
焼き菓子の栄養成分表示の作り方|計算のしかたと計算例・推定値の書き方
文 パティレコ
焼き菓子に栄養成分表示を付けたい。でも、検査機関に出すほどではない。そんなときは、材料と分量から栄養成分を計算して表示できます。この記事では、焼き菓子・洋菓子の栄養成分表示を計算で作る手順を、フィナンシェの計算例つきで説明します。
結論:計算で作れる。必要なのは重さで書いたレシピ
栄養成分表示の値は、分析で測るほか、日本食品標準成分表(八訂)などのデータから計算して出すことができます。計算で出した値は「推定値」として表示します。必要なのは、材料をすべて重さ(g)で書いたレシピと、焼き上がりの個数・重さです。
栄養成分表示を計算で作る4つの手順
- レシピを重さで決める:「卵2個」「大さじ1」「適量」は、一度量って g に直します。
- 材料ごとの値を調べる:日本食品標準成分表(八訂)で、材料に当てはまる食品の100g当たりの値を引きます。市販のチョコレートなどは、商品の栄養成分表示の値を使えます。
- 材料ごとに掛けて、全部を足す:100g当たりの値 × 使った量 ÷ 100 を、熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5項目それぞれで出し、合計します。
- 表示する単位に割る:1個当たりなら個数で、100g当たりなら焼き上がりの重さで割ります。
計算例:フィナンシェ12個分
材料ごとに「100g当たりの値 × 使った量 ÷ 100」を出して足します(値は八訂。小数は途中で丸めずに足します)。
| 材料 | 量 | 熱量 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 卵白 | 100g | 44kcal | 10.1g | 0g | 0.5g | 0.5g |
| グラニュー糖 | 100g | 394kcal | 0g | 0g | 100g | 0g |
| アーモンドプードル | 40g | 243.6kcal | 7.84g | 20.72g | 8.36g | 0g |
| 薄力粉 | 30g | 104.7kcal | 2.49g | 0.45g | 22.74g | 0g |
| 無塩バター | 100g | 720kcal | 0.5g | 83g | 0.2g | 0g |
| はちみつ | 10g | 32.9kcal | 0.03g | 0g | 8.19g | 0g |
| 合計 | 380g | 1539.2kcal | 20.96g | 104.17g | 139.99g | 0.5g |
焼き上がりを量ったら12個で336g(1個28g)だったとします。1個当たりは合計を12で割り、100g当たりは合計を336gで割って100を掛けます。
| 栄養成分表示 1個(28g)当たり | |
|---|---|
| 熱量 | 128kcal |
| たんぱく質 | 1.7g |
| 脂質 | 8.7g |
| 炭水化物 | 11.7g |
| 食塩相当量 | 0.04g |
| 推定値(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の計算による) | |
同じフィナンシェを100g当たりで表示するなら、熱量458kcal・たんぱく質6.2g・脂質31.0g・炭水化物41.7g・食塩相当量0.1g です。
焼いて減る重さは、どう扱う?
焼くと、主に水分が抜けて重さが減ります。この例でも、生の材料の合計380gが、焼き上がりでは336gになっています。ガイドラインは、計算するときに調理による重さの変化(重量変化率)を考えることを求めています。
- 1個当たりで表示する:材料の合計を個数で割ります。抜けるのが主に水分なら、1個に入っている熱量やたんぱく質の量は大きくは変わらないと考えられるためです。「1個(28g)当たり」のように1個の重さを添えると、買う人に分かりやすくなります(「1食分」として表示するときは、その量を書き添えます)。
- 100g当たりで表示する:焼き上がりの重さで割ります。生の材料の合計(380g)で割ると熱量は405kcalになり、焼き上がりで割った458kcalより小さく出てしまいます。
洋酒を加熱してアルコールを飛ばすお菓子や、焼くと油脂が流れ出るお菓子は、この考え方だけでは差が出ることがあります。ガイドラインは、実際に作って重さを量り、推定する方法も認めています。焼く前と焼いた後の重さは、毎回でなくても記録しておくと根拠になります。
数字の丸め方と、0と書けるとき
- 熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物は、少なくとも1の位まで書きます(128kcal、2g)。もっと細かく書くこともでき、その場合は下の位を四捨五入します(1.7g)。
- 食塩相当量は、少なくとも小数第1位まで書きます(0.1g)。
- 100g当たりの量が「0と表示できる量」(熱量5kcal・たんぱく質・脂質・炭水化物0.5g・ナトリウム5mg)より少なければ、0と書けます。それ以上あるときは、1個当たりの値が小さくても0とは書かず、0.04g のように数字を1桁以上残します。上の例の食塩相当量がこれに当たります。
- 5項目の順番(熱量→たんぱく質→脂質→炭水化物→食塩相当量)は変えられません。
「推定値」の書き方と、残しておく資料
計算で出した値を表示するときは、栄養成分表示の近くに、次のどちらかを書きます。
- 「推定値」
- 「この表示値は、目安です。」
「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の計算による推定値」のように、何をもとにしたかを書き足すこともできます。あわせて、聞かれたときに説明できるよう、次の資料を残しておきます(紙でもデータでも構いません)。
- 材料を重さで書いたレシピ
- 計算のしかたと、使ったデータベースの名前(日本食品標準成分表(八訂)など)
- 市販の材料を使ったときは、その商品の栄養成分の値が分かるもの(袋の表示・規格書)
- 作り方の流れと、焼く前と焼いた後の重さの記録
保管するのは、その表示で売っている間です。販売をやめた商品は、最後に作った品の期限が過ぎるまで残します。ラベルの名称・原材料名・アレルゲンなど、ほかの項目の書き方は焼き菓子の食品表示ラベルの書き方を見てください。フランス語の材料名が分からないときは製菓フランス語の材料辞典も使えます。
よくある質問
お菓子の栄養成分表示は、自分で計算して作ってもいい?
作れます。日本食品標準成分表などのデータから計算した値は「合理的な推定により得られた値」として表示できます。そのときは「推定値」または「この表示値は、目安です。」と栄養成分表示の近くに書き、計算のもとにした資料を保管します。
検査機関に出さないといけないのはどんなとき?
「糖質オフ」「カロリー控えめ」のような栄養強調表示をするときや、栄養機能食品として売るときは、推定値は使えません。ふつうの焼き菓子に栄養成分表示を付けるだけなら、計算による推定値で表示できます。
焼いて重さが減ったら、どう計算する?
1個当たりで表示するなら、材料の合計を個数で割ります。100g当たりで表示するなら、焼き上がりの重さを量り、その重さで割ります。生の材料の合計で割ると、水分が抜けたぶん値が小さく出てしまいます。
「大さじ1」や「適量」のレシピでも計算できる?
計算のもとにするレシピは、材料を重さで決めておく必要があります。大さじや個数で書いたレシピは、一度量って g に直してから計算します。
フランス語のレシピでも計算できる?
材料名を日本語の食品名に当てはめれば計算できます(farine → 薄力粉、beurre doux → 無塩バター など)。パティレコはフランス語の材料名のままでも当てはめて計算します。
参考にした資料
PatiReco でできること
栄養成分の計算を、レシピから自動で
パティレコは、レシピの材料と分量から成分表(八訂)をもとに1個あたりの5項目を計算するアプリです。フランス語の材料名のままでも当てはめ、ラベルには「推定値」と表示します。
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