お店の手引き
ケーキ・焼き菓子の原価計算のやり方|1個あたりの原価と原価率の出し方
文 パティレコ
「このケーキ、いくらで売ればいいんだろう」。値付けの土台になるのが原価計算です。この記事では、材料と包材の仕入れ値から、1個あたりの原価と原価率を出す手順を、フィナンシェを例にまとめます。
原価計算で出したい3つの数字
- 1個あたりの原価:その商品1個を作るのにかかる材料費と包材費
- 原価率:売価のうち、原価が占める割合(原価 ÷ 売価 × 100)
- 売価の目安:目標の原価率から逆算した売価(原価 ÷ 目標の原価率)
ここでいう原価は、材料費と包材費です。人件費・光熱費・家賃は含めません。お菓子屋さんでよく話題になる「原価率」も、ふつうはこの材料と包材の原価率のことです。
手順1:材料の単価を出す
まず、仕入れた材料が1gあたりいくらかを出します。購入価格を、買った量で割るだけです。
例:バター 1kg(1,000g)を 2,600円で買った → 2,600 ÷ 1,000 = 1gあたり 2.6円
25kg の粉を袋で買う、10袋入りのケースで買うなど、買い方が違っても同じです。ケースなら「ケースの値段 ÷(1袋の量 × 袋の数)」になります。
手順2:レシピ1回分の材料費を出す
材料ごとに「1gあたりの単価 × レシピで使う量」を出して、足し合わせます。
| 材料 | 仕入れ値 | 1gあたり | 使う量 | 材料費 |
|---|---|---|---|---|
| 無塩バター | 1kg 2,600円 | 2.6円 | 220g | 572円 |
| 卵白(液卵白) | 1kg 800円 | 0.8円 | 200g | 160円 |
| グラニュー糖 | 1kg 300円 | 0.3円 | 180g | 54円 |
| アーモンドパウダー | 1kg 2,400円 | 2.4円 | 90g | 216円 |
| 薄力粉 | 1kg 400円 | 0.4円 | 70g | 28円 |
| はちみつ | 1kg 1,800円 | 1.8円 | 20g | 36円 |
| 合計 | 1,066円 | |||
卵を個数で買っている場合は、1個の値段を、使う部分(全卵・卵黄・卵白)の重さで割って1gあたりにします。水は0円として数え、「少々」「適量」のように量の決まっていないものは、計算から外してかまいません。
手順3:1個あたりにして、包材を足す
材料費の合計を、できあがった個数で割ります。1,066円 ÷ 20個 = 1個あたり 53.3円。
ここに、1個に使う包材を足します。この例では、個包装の袋5円・乾燥剤3円・シール2円で 10円。1個あたりの原価は 63.3円です。
ホールケーキなら、1台の原価を出してから、切り分ける数で割ります。ケーキ箱や保冷剤のように1台ごとにかかる包材は、1台ぶんとして足します。
手順4:原価率と売価を決める
売価を 250円 にすると、原価率は 63.3円 ÷ 250円 × 100 = 25.3% です。
逆に、目標の原価率から売価を決めることもできます。目標を 30% にするなら、63.3円 ÷ 0.3 ≒ 211円。10円単位で切り上げて、売価の目安は 220円になります(切り上げておけば、原価率が目標を超えません)。
洋菓子の原価率は、25〜35%くらいがひとつの目安と言われることが多いですが、商品や売り方で大きく変わります。手間のかかる生菓子と、まとめて焼ける焼き菓子では、同じ原価率でも利益の残り方が違います。自分のお店の目標を決めて、商品ごとに見比べるのがおすすめです。
ロス(歩留まり)の考え方
型に残る生地、焼き損じ、試食、いちごのヘタのように、仕入れた量のすべてが商品になるわけではありません。見込みたいときは、使えない割合(ロス率)で材料費を割り戻します。
この例でロス率を 5% とすると、材料費は 1,066円 ÷ 0.95 ≒ 1,122円。1個あたりの原価は 66.1円 になります。
原価計算を続けるためのコツ
- 仕入れ値が変わったら、材料の単価だけ直す:単価を材料ごとに1か所で持っておけば、その材料を使う商品の原価をまとめて直せます。
- 同じ材料の書き方をそろえる:レシピごとに「farine」「薄力粉」「小麦粉」と書き方が違うと、単価の入れ忘れが起きます。
- 使う量はレシピの分量から:原価用に別の表を作ると、レシピを直したときに原価だけ古いままになります。
材料名がフランス語で書かれている場合は、製菓フランス語の材料辞典で日本語の材料名を確かめられます。
PatiReco でできること
レシピから、1個あたりの原価と原価率を
仕入れ値を入れておけば、レシピの分量から1個あたりの原価・原価率・売価の目安を出します。仕入れ値が変わっても、入れ直すだけです。
くわしく見るほかの手引き